心についた傷がたとえ癒えても
傷がつく前の自分にはもう二度と戻れない
とわかる私になれてよかった。
大人になってよかったと
思えることの一つがこれかもしれない。
ただ歳を重ねたからといって
大人になれるわけじゃないし
じゃあ大人とは
一体どういう定義なのかと聞かれたら
それは私には全然わからないけれど
大なり小なり
こんな気持ちは一生のうちで知らない方が幸せだった
ということを経験しながら
それでもなんとか生きていくうちに
いろんなことを許せるようになって
自分のことを大人として
やっと認識できるように
なるのだと私は思っている。
でも迂闊にいろんなことを許せるようになると
「許す」だったはずが「赦す」になって
ここぞとばかりに
赦さなきゃいけないことが増えて
次第に苦しくなってしまうのも知っている。
赦していないのに赦して
傷だけが増えていって
傷が治ったと見せかけて
日に日に別人になっていく。
本当はこれこそ
「一生のうちで知らない方が幸せだった」
ことなのかもしれない。
でも
これを知っていると
「誰かの心を簡単に傷つけてはいけない」
とわかるようになる。
これがわかる私になれて
私はよかったと思う。
当たり前のことだけど
一生のうちで知らない方が幸せだったことを
知らないままでいたときには
気が付かなかった。
誰かの心を傷つけるというハードルは
今より遥かに低かった。
傷付いた分だけ
人に優しくできるというのは
そういうことなのだと思う。
だから私は
明日からもなるべく人に優しくしたい。
人の心を大切に
壊れないように守っていきたい。
もちろん自分の心も。
藤村聖子
お芝居やってます。 twitter→@shoko_fujimura_ instagram→shoko_fujimura
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