私はずっと私の年齢が嫌いだった


13歳でお芝居を始めた私は、
いつも何かをするには歳を重ねすぎていた。

高校生になったときには、
ああ高校生になってしまった、
もう中学生の役はできない、そう思った。

大学生になったときには、
ああ大学生になってしまった、
もう高校生の役はできない、そう思った。

20歳を超えたときには、
すっかり大人になってしまった、
と絶望のような気持ちが襲ってきた。

大学を卒業したときには、
もう学生の役はできない、
制服なんてとてもじゃないけど着られない、
そう思った。

私はもうダメかもしれない、
そんなことまで思った。

次から次に
新しい、若い女優たちがどんどん出てくる。

気がつけば共演するのは年下ばかり。

現場で自分が何番目に若いかを
10代の頃からずっと考えて過ごしてきた。

ほんとうは
いつのときにも
私にはたくさんの可能性があって、
年齢に関わらず 
なんだってできたはずなのに、
できないことにばかり目を向けて

「もう若くないんだから」

という呪いを信じて、

いつもいつもいつも
私は自分の年齢を恨んでいた。

それが当たり前だった頃は、
おかしなことだなんて全く思わなかった。

自分の年齢を若い誰かと比べて
たまに絶望を味わってしまうことに
疑問を抱いたことなどなかった。

でも、私はあるときぼんやりと気がついた。

「なんだこれは」

20代半ばに差し掛かってからだった。
若さを求めることに疲れてしまった。

「もしかして私、まだ今から何にだってなれる?」

そう考えた方が人生が楽しくなるかもしれないと思った。

私にはやりたいことがあったから、
そう考えて立ち上がる必要があった。

今でも、
若さは魔法だと思う。

みんな手にできるのに、
みんなあっという間に手放さなくてはいけない。

手放したあと、
絶望したまま
自分の年齢を嫌いながら
私は生きていきたくない。

いつのときも
今の自分が一番好きだと
自分だけは思ってあげたい。

大丈夫。

そうやって、
私は今年も歳を重ねます。

最高に向けて、歳を重ねます。

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藤村聖子

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